おすすめの新刊や話題の書籍を、教育・図書館関係者さまの推薦のことばとともにご紹介します。
美術品の劣化を防ぎ、汚れを取り除き、傷を補修して次世代に継承する「保存修復」の仕事を、愛らしいイラストと豊富な写真とともに、ストーリー仕立てで紹介します。
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1年366日の記念日を網羅した記念日事典の決定版。上巻には1月~6月の記念日を収録。食、ファッション、健康、交通、歴史などあらゆる記念日の名称や由来を解説。
366日の記念日を網羅した記念日事典の決定版。下巻には7月~12月の記念日を収録。食、ファッション、健康、交通、歴史などあらゆる記念日の名称や由来を解説。
不確かな時代を共に生きていくために必要な「自ら考える力」「他者と対話する力」「遠い世界を想像する力」を養う多様な視点を提供する、10代から読める人文書シリーズ。
子どもの本に関わる質問や疑問にQ&A形式でお答えします。内容は月替わりで更新いたします。
※2013年8月刊行『子どもの本100問100答』(一般財団法人大阪国際児童文学振興財団編)より抜粋
(2025.05.16更新)
地域の言葉、その土地の言葉には、各地域の生活の響きがあります。子どもにとっては日常的に話している言葉そのものであり、より親近感があるため、紹介する場合も多いのでしょう。こうした理由から、図書館等にも方言で書かれた作品を教えてほしいとの質問が寄せられます。
しかし、以上の質問には「この本!」と、たちどころに応えられる資料があるかといえば、そうではないようです。ニーズはありながらも、必要な資料の把握には一定の情報の蓄積と検証などが求められ、時間と労力がかかるからかもしれません。どこまでを方言とするかも、なかなか厄介な問題です。
国際子ども図書館、東京都立図書館、大阪府立図書館などで検索してみたところ、50件程度ヒットするのですが、いずれも「方言事典」や「ことば遊び」、または科学や知識の「ことばの本」で、いわゆる「物語のリスト」に出会えません。
子どもの本が探せるサイト「ほんナビきっず」(http://www.honnavi.jp/)で物語(絵本や読み物、詩や画集・伝記を含む)を検索すると、方言で12冊、あるいは関西弁で14冊程度が見つかりました。表紙画像やあらすじ、件名も掲載されていてわかりやすいのですが、数としては決して十分とはいえません。地域のバリエーションも課題です。
次に、約4万冊の絵本を登録する「絵本ナビ」(http://www.ehonnavi.net/)で検索しました。「方言」で探すと、テーマ〈方言が使われている絵本〉が出てきて、『八郎』(斎藤隆介作、滝平二郎画、福音館書店、1967)、『ぼちぼちいこか』(マイク・セイラー作、ロバート・グロスマン絵、いまえよしとも訳、偕成社、1980)、『ごろはちだいみょうじん』(中川正文作、梶山俊夫絵、福音館書店、1969)など約50冊の絵本が表示されました。絵本に限定されるとはいえ、一つの手がかりになります。ここで抽出された著者の他作品を探すなどすれば、よりたくさんの該当作に出会える可能性があります。しかし、どこの方言かについてまでは記載がありません。
この地域の言葉を、という具体的なニーズがある場合は、『民話・昔話全情報』(全3冊、日外アソシエーツ、1992、2000、2008)を参照してみるのもいいでしょう。本書は、各地の昔話や民話の資料を掲載しており、たとえば、新潟の方言で書かれた絵本であれば、『さんまいのおふだ 新潟の昔話』(水沢謙一再話、梶山俊夫画、福音館書店、1985)『さるかに 新潟県』(木暮正夫ぶん、赤星亮衛え、第一法規出版、1981)などが掲載されています。昔話や民話に限定されますが、全国各地の情報が得られるのは魅力です。各地域の昔話や民話なら、『語り伝えたいふるさとの民話』(世界文化社、2002~)、「県別ふるさとの民話」シリーズ(偕成社、1978~)もあります。
また、すべてが方言ではありませんが、『愛蔵版県別ふるさと童話館』全47巻(リブリオ出版、1997)を手がかりにする方法もあります。『児童文学のふるさと』(「日本児童文学」別冊、文渓堂、1993)には、都道府県別の児童文学作家紹介があり、新潟の杉みき子「わらぐつのなかの神様」や高知のふたごの絵本作家田島征彦、征三『ふたりはふたご』(くもん出版、1996)などがあげられます。
最後に、忘れてはならないのは、こうした質問はやはり、各地域の地元図書館へ問い合わせるのが確実ということです。地元図書館には必ず、郷土資料室のようなセクションがあり、地元の資料を収集しているほか、こうしたことに熟知している職員や司書の方がおられるはずです。そこで長年蓄積されたものは大きな財産であり、インターネットや本には記載されていないことがわかるかもしれません。ぜひ、ご利用になることをおすすめします。
毎年4月に発行している学校・公共図書館さま向け図書カタログや、
4月以降に刊行した新刊のチラシを下記よりダウンロードしていただけます。