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プロカウンセラーの人を見る技術
福島 哲夫 著
内容紹介
「聞く技術」から「見る技術」へ
〈累計50万部を突破!「プロカウンセラーの技術」シリーズ最新刊〉
人は誰しも、「あの人はどんな人なのか?」と考えながら生きています。仕事の場面では相手の能力や性格を見極める必要があり、プライベートでは人間関係のトラブルを避けるために相手の本質を知りたいと思うこともあるでしょう。しかし、私たちが何気なく使っている「人を見る目」は、本当に正しく機能しているのでしょうか? 本書は、個人から社会のレベルまで、人をより深く理解するための「人を見る技術」を心理学的視点から解説します。
第Ⅰ部では、「変われる自分」と「変わらない自分」の違いを理解することから始め、気質や性格、認知のクセがどのように人の行動に影響を与えるのかを掘り下げます。例えば、「内向型」と「外向型」の違いは単なる社交性の問題ではなく、情報処理のタイプに関係していることや、繊細で過剰に反応しやすい人がどのように生きづらさを感じるのかについて考察します。また、ADHDやASD(自閉スペクトラム症)、HSP(繊細な気質)などの特徴が、個人の思考や対人関係にどのような影響を与えるのか、さらに自己愛やボーダーラインパーソナリティ、回避性パーソナリティなど「見えにくい個性」についても触れ、他者の行動の背後にある心理を読み解きます。
第Ⅱ部では、人間関係の中でどのように相手を理解するかに焦点を当てます。親密な関係の中で起こる「共依存」や「カサンドラ症候群」、ビジネスの場とプライベートでの会話のズレが生み出す誤解など、人との距離感や関係のパターンを詳しく見ていきます。また、時代の価値観の違いによる夫婦間のズレや「投影同一化」、リーダーの役割など、グループの中での人間関係のダイナミクスについても考察します。
第Ⅲ部では、個人と社会の関係を見つめます。私たちの価値観や行動は、社会の構造や文化的背景によって大きく影響を受けています。「個人の責任」と「集団の責任」の境界が曖昧になる現代において、ポジショナリティ(自分が社会の中でどの位置にいるか)を理解することが重要になっています。また、新自由主義や自己責任論の広がり、家族や民族に受け継がれるトラウマ、そして個食の時代における孤独の問題など、社会が個人に及ぼす影響を心理学的観点から分析します。
単なる性格診断の枠を超え、個人の特性がどのように社会や人間関係と結びついているのかを深く読み解きます。「あの人はなぜこういう行動をとるのか?」という疑問を解き明かすことで、自分自身への理解も深めることができます。人との関係に悩むすべての人に向けた、実践的かつ洞察に満ちた一冊です。もっと見る
目次
まえがきに代えて――「可能性」と「プロセス」を見る
第Ⅰ部 個人を見る
1 人を見る技術とは?
2 気質と性格――「変われる自分」と「変わらない自分」
3 仕事のできる人をどう見分けるか――採用面接におけるプロの技
4 「内向」「外向」とは?
5 居場所を失った内向人間
6 「隠れ内向」だったAさん
7 繊細で過剰な反応をする人
8 性格よりも大切な情報処理能力
9 注意散漫で衝動的と言われてしまう人――ADHDの弱みと強み
10 空気が読めないと言われてしまう人
11 必死にカモフラージュして生きている人――ASDとインポスター症候群
12 物事への対処の違い――正反対なHSPとADHD
13 キレやすい人の内面――Lonely Childとどう付き合うか
14 ハラスメントやDVをやめられない人――自己愛人格
15 褒められても喜べない人――自傷的自己愛
16 ボーダーラインパーソナリティ症――情緒不安定なスイッチが入る人
17 喧嘩をしたらもう破局?――大人のアタッチメント
18 接近恐怖の人――スキゾイドパーソナリティ
19 大事なところで逃げる――回避性パーソナリティ
20 不満の絶えない人――「棘のベッド」と「歪んだ杖」を捨てられない
21 あなたのお尻にはどんな椅子が付いているか?
22 自律神経はどう働いているか?――副交感神経スイッチ
23 不安と好奇心はどの程度?――クロニンジャーのパーソナリティ理論
24 過剰反応する人――「トラウマの眼鏡」で人を見る
25 逆境的小児期体験(ACE)を経てきた人たち
26 複雑性PTSD――度重なる辛い経験で過敏になってしまった人
第Ⅱ部 関係の中で見る
27 人を見るプロの技――「自分」を使って関係性を見抜く
28 関係性の闇「共依存」
29 愛情よりも相性が大事
30 ビジネストークと親密トーク――喧嘩の絶えない夫婦
31 愛情表現の5つの方法――この食い違いが決定的
32 時間軸のズレによる関係性の闇――秩父神社の格言より
33 昭和の夫と令和の妻――「異時代」の問題
34 カサンドラ症候群の妻とASDの夫
35 投影同一化――喧嘩を売り買いする関係
36 リーダーとサブリーダーによって集団は決まる
37 それは現代の魔女裁判なのか――ダブルバインド
第Ⅲ部 社会の中で見る
38 ポジショナリティ――個人の責任と集団の責任
39 スピリチュアリティと社会――スピリチュアルな人たち
40 逃げ場所と希望のなくなった現代日本
41 個食の時代と子ども・若者の孤独
42 新自由主義と個人――市場主義と自己責任論の中で
43 家族トラウマと民族トラウマ――被害と加害の連鎖もっと見る
著者紹介
※著者紹介は書籍刊行時のものです。[著]福島 哲夫(フクシマ テツオ)
明治大学文学部日本文学科卒業、慶應義塾大学大学院博士課程単位取得満期退学。1999年より大妻女子大学人間関係学部専任講師を経て、現在は大妻女子大学人間関係学部社会・臨床心理学専攻および大学院臨床心理学専攻教授。人間関係学部長。2014年より成城カウンセリングオフィス代表として若手心理士とともに実践にも励む。研究領域と実践の中心はユング心理学ならびに統合的心理療法。日本心理療法統合学会理事長。主な著書に『心理療法統合の手引き』(共著、誠信書房)、『心理療法統合ハンドブック』(共編、誠信書房)、『マンガでやさしくわかる公認心理師』(監修・原作、日本能率協会)、『公認心理師標準テキスト 心理学的支援法』(共編著、北大路書房)、『臨床心理学入門』(共著、有斐閣)、『ユング心理学でわかる「8つの性格」』(単著、PHP研究所)などがある。もっと見る
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